2026.11.02
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陶器の弥勒菩薩像の3Dスキャンを実施 ― 3Dプリンターで仏像を立体再現する

つるりとした陶器の肌をもつ、珍しい弥勒菩薩像。今回はその姿を3Dスキャナーで形状ごと記録し、MJF(マルチジェットフュージョン)方式の3Dプリントで立体として再現した事例をご紹介します。
「表面がなめらか」「特徴点が少ない」という、デジタル化において難しい条件が重なった対象物を、どのように取得し、形にしたのか。作業の様子は動画でもご覧いただけます。
▼作業の様子(YouTube)
弥勒菩薩とは
弥勒菩薩(みろくぼさつ)は、釈迦の入滅から56億7000万年後の未来にこの世に現れ、人々を救うとされる「未来仏」です。
右足を左膝に乗せ、指先をそっと頬に添えて思索にふける「半跏思惟(はんかしゆい)」の姿で表されることが多く、そのやわらかな曲線は仏教美術のなかでも特に美しいものとして知られています。繊細な曲面の連なりこそが、弥勒菩薩像の魅力です。
今回の対象物:つるりとした陶器の弥勒菩薩像
今回デジタル化したのは、陶器でつくられた珍しい弥勒菩薩像です。木彫や金属の仏像とは異なり、表面はつるりとなめらかに仕上げられています。
この美しい肌こそが、デジタル化における最大の課題でした。写真から立体を復元するフォトグラメトリーでは、画像同士を結びつけるための「特徴点」が必要です。模様や凹凸の少ないなめらかな面では、この特徴点を十分に得られません。
形状の取得に3Dスキャナーを選んだ理由
そこで今回は、ハンディタイプの3Dスキャナーで形状を取得しました。特徴点の少ない素材でも形を捉えやすいことが、採用の理由です。
もう一つの理由が、3Dプリントを前提としていたことです。弊社では、3Dプリントでの出力を前提とする案件では、3Dスキャナーによる形状取得を採用することが多くあります。
「何に使うデータか」を先に決め、それに合った取得方法を選ぶ。この順番が、仕上がりを左右します。
▼公開中の3Dデータ
MJF方式の3Dプリントで、データを「手に取れる形」へ
仏像は、腕や指先、衣のひだなど、入り組んだ形状が多い対象物です。積層して造形する3Dプリントでは、宙に浮いた部分を支えるための「サポート材」が必要になる方式があります。サポート材は造形後に取り除くため、細かな部分では除去の手間がかかり、取り除いた跡が残ることもあります。
MJFは、粉末状の材料を層ごとに融合させて造形する方式です。造形中は周囲の粉末が造形物を支えるため、サポート材を必要としません。入り組んだ形状でも、サポート材の除去跡を気にせずに造形できます。さらに、ホワイト色では塗装などの仕上げを施さない素地の状態でも、落ち着いた仕上がりになることが、採用の決め手となりました。(この様な形状では積層痕の縞模様が浮き出るため、選考の際は考慮が必要です)
3Dプリントで立体にした仏像は、たとえば次のような場面で活用できます。
- 実物は大切に保管し、展示にはレプリカを使う
- 手で触れて形を確かめられる展示物として使う
- サイズを変えて出力し、ミニチュアやグッズにする
- 解説や教材の素材として、手元で形を見せる
まとめ
素材の性質とデータの使い道。この2つを踏まえて取得方法を選ぶことで、特徴点の少ない陶器の仏像も、デジタルデータとして残し、立体として再現することができました。
弊社では、展示物や文化財の3Dスキャンから、3Dプリントなどの活用までを一貫してお手伝いしています。「この素材はスキャンできるか」といった段階から、お気軽にご相談ください。
※本記事で紹介している内容は、対象物の所有者様の許可を得て公開しております。




