2026.10.14
Column
展示物を3Dデータにするということ ― 江戸城模型のデジタル化事例から

博物館や資料館に並ぶ展示物は、実物をその場で見ることで価値が伝わるものです。一方で、実物は一つしかなく、見られる場所や時間は限られます。
展示物を3Dスキャンし、立体の形と色をデジタルデータとして記録する。これが「展示物を3Dデータにする」ということです。オンラインショッピングでは、商品を3Dで見せる取り組みも見られるようになりましたが、こうした3Dの活用は展示物においても広がりつつあります
3Dデータにすることで広がる活用
3Dデータにした展示物は、たとえば次のような形で活用できます。
- 現状の形と色を記録として残す
- Webサイトやモニター上で、来館できない方にも見ていただく
- 画面上で回転・拡大し、実物では見えにくい角度や細部を確認する
- 展示や解説、教材の素材として使う
事例紹介:江戸城模型の3Dデータ化
今回3Dデータ化を行ったのは、江戸城の寛永度天守を再現した模型です。公開されている図面などの資料を読み解き、復元したものとなります。
取得した3Dデータは、弊社の作例として、3Dデータ公開プラットフォーム3Dasset.ioで公開しています。
公開後は海外からも多くのダウンロードをいただき、3Dデータは国や地域を問わず届けられるものだと実感しました。制作会社としても、弊社の技術を知っていただく良い機会になりました。
▼公開中の3Dデータ
作業で工夫した点・苦労した点
対象物が模型(ミニチュア)という性質上、ひとつひとつの部材が非常に細かいという特徴がありました。
また、写真から立体を復元するフォトグラメトリーでは、この模型の白い壁のように模様や凹凸の少ない面から、形状の復元に必要な特徴点を十分に得られません。
そこで今回は、形状の取得には3Dスキャナーを併用し、色彩情報のみミラーレスカメラで撮影した画像を使用する、ハイブリッドな手法を採用しました。
まとめ
展示物を3Dデータにすることは、実物の価値を置き換えるものではありません。実物を守りながら、その魅力をより多くの方へ、より多様な形で届けるための手段です。
弊社では今後も、展示物のデジタル化と活用のお手伝いをしてまいります。展示物の3Dデータ化をご検討の際は、お気軽にご相談ください。




