2026.10.27
Column
3Dスキャン中に展示物は傷まない? ― 非接触計測の仕組みと、作業時に気をつけていること

文化財や展示物の3Dスキャンについてご相談をいただく際、「スキャン中に資料が傷んだりしませんか?」というご質問をよくいただきます。
大切な資料をお預かりする以上、当然のご心配だと思います。
今回は、3Dスキャンの仕組みと、当社が作業時に気をつけていることをご紹介します。
「触れずに」形を計測します
当社では、構造化光方式の3Dスキャナーと、カメラによる撮影を用いて3D化を行っています。
構造化光方式は、パターン状の光を対象物に投影し、その形の変化から立体を計測する方式です。カメラによる撮影では、ストロボや定常光の照明を当てて資料を撮影し、その画像から立体を作成します。
いずれの方法も、計測のために資料に直接触れる必要はありません。そのため、器具を当てて採寸する従来の方法に比べ、資料への負担を抑えて記録することができます。
当社では作業の前に、資料の状態を最もよくご存じの学芸員の方をはじめとするご担当者様に作業内容のご確認をお願いしています。光に弱い素材を含む資料や、強度に不安のある資料など、取り扱いに制限がある場合は事前にご相談下さい。条件に合わせて作業方法をご提案いたします。
当社が作業時に気をつけていること
- マスクの着用
作業中はマスクを着用を徹底しております。飛沫や呼気が資料に付くと、金属などの劣化につながるおそれがあるためです。 - 資料の取り扱い
スキャンのために資料を動かす必要がある場合は、ご担当者様と相談のうえ、立ち会いをお願いしたり、移動そのものをお客様側で行っていただいたりすることがあります。資料の取り扱いに最も詳しい方の判断のもとで作業を進めるためです。
- 資料に合わせた治具・クッションの製作
スキャン中に資料を安定して支えるため、資料の形状に合わせた治具やクッションを製作することがあります。模型制作で培った技術を、資料の保護にも生かしています。
- 作業場所の養生
作業場所の床や机を傷つけないよう、養生を行っています。たとえば、三脚の脚には靴下をかぶせて使用しています。
- 出張作業に対応
資料を外部へ運び出すこと自体が、破損のリスクになります。当社では出張作業に対応しており、収蔵場所や展示場所で、資料をなるべく動かさずにスキャンすることができます。
当社ではガラスケースを外さずに、人体程度の大きさの鐘の3D化を実現した実績もございます。
まずはご相談を
資料の状態や取り扱いの条件は、資料ごとに異なります。
当社では、資料を守ってこられたご担当者様の判断を何より大切にし、その条件の中で最適な方法をご提案します。
まずはお気軽にご相談ください。




