本レポートでは、今回のデモ計測の中から、大堂銅鐘を3Dスキャンした事例を紹介いたします。
対象の資料がこちら
大堂銅鐘は、今から約680年前の暦応3年(1340年)に作られた、青銅製の鐘です。表面には文字が彫り込まれており(陰刻)、長い歴史を物語っています。

この鐘は板橋区の登録有形文化財であり、国の重要美術品にも認定されている、大変貴重な文化財です。今回、その大堂銅鐘を3Dスキャンの対象として選んでいただけたことは、私たちにとって大きな光栄でした。

今回の撮影には、「ガラスケースを外さない」という条件がありました。ガラスケースに入った状態では、3Dスキャナーを鐘に十分近づけることができませんでした。そこで今回は、複数の写真から立体データを作り出す「フォトグラメトリー」という方法を採用しました。

撮影の際には、ガラスの反射が写り込んでしまうのを防ぐため、カメラをガラスにぴったりとつけて撮影しています。その際、カメラがガラスに触れる部分には、柔らかいシリコンやフェルトのクッションで出来たアタッチメントを取り付け、傷がつかないよう配慮いたしました。

このように、展示の状態を変えずにデジタルデータ化する工夫を重ねながら、今回の撮影を行いました。

テスト中の様子がこちら
取得したデータがこちら
今回の作業の結果、閲覧用途として十分な品質のデータを取得することができました。

ガラスケースに守られたまま展示されている文化財でも、こうした技術を使えば、多くの方に見ていただけるデジタルデータを残せる。今回の事例から、そんな可能性を感じることができました。今後も、それぞれの文化財が置かれた状況に合わせて、最適な計測方法を考えながら取り組んでいきたいと思います。

※掲載している3Dモデルは作業段階ものとなります
※本記事は、関係者様のご承諾のもと公開しております